2026年6月1日の素話(ライオンとネズミ、黄金の斧)

想像力の芽を育む「素話」のひととき

木々の緑がまぶしい季節となりました。 今年度初めての「素話(すばなし)」をしました。

「素話」とは、心の中に描く物語

「素話」とは、絵本も紙芝居も使わず、保育者の「言葉」だけでお話を伝える時間です。 情報があふれる現代、子どもたちの周りには魅力的な動画コンテンツが数多くあります。目から入る鮮やかな情報は分かりやすい反面、自分自身で想像する余白を埋めてしまうこともあります。

そんな時代だからこそ、私たちは「耳で聞くこと」を大切にしています。 子どもたちは、私たちの声、息遣い、言葉の抑揚を頼りに、自分の頭の中で登場人物を走らせ、風景を彩り、世界にひとつだけの物語を紡いでいくのです。

今回お届けしたお話

それぞれの年齢に合わせ、今の子どもたちの姿を思い浮かべながら選んだイソップ寓話です。

【年長:すみれグループ】「黄金の斧(金の斧・銀の斧)」

正直な木こりと欲張りな木こりの対比が面白い、有名なお話です。

「私が落としたのは、ただの鉄の斧です」 そう答える木こりの姿を通して、「正直であることの清々しさ」を感じてもらいたいと考えました。子どもたちはすでにどこかで聞いたことがあったのか、その展開にグッと引き込まれ、集中して聞き入る姿が印象的でした。

【年中:たんぽぽグループ】「ライオンとネズミ」

小さなネズミが、百獣の王ライオンを助けるという逆転劇です。

「自分にも誰かを助ける力があるんだ」 たとえ体が小さくても、弱くても、誰かの役に立ち、友情を築くことができる。そんな自己肯定感と他者への優しさの種を、物語の中に忍ばせました。

正解を求めない、心の栄養として

素話の良いところは、子どもたちが「物語の教訓を正しく理解しなくていい」という点にあると個人的には思っています。

お話を正確に覚える必要も、道徳的な正解を強調する答える必要もありません。「なんだかワクワクした」「ライオンが助かってよかった」という心地よい記憶とともに、物語の奥にある願いを、心の奥底にほんのりと積み重ねていくこと。

その積み重ねこそが、将来、彼らが困難に直面したときや、誰かを思いやりたいときに、「心の真っすぐさ」や「優しさ」の根っこになってくれるのだと信じています。

ご家庭でのひとときにも

「素話」は、特別な準備がいりません。 ぜひご家庭でも、寝る前の数分間、昔話や園長先生(あるいはお父様・お母様)の創作話を語ってあげてください。大好きな人の声に包まれながら、頭の中に自分だけの世界を広げて眠りにつく――。

そんな、耳から伝わる温かな親子の時間を、ぜひ楽しんでいただければ幸いです。


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